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暴走する脳科学(河野哲也)①

○道具は心の一部(p.66-)

脳だけで可能になる心理作用など存在しないだろう、という話。

たとえば多くの計算は、心の中だけ、脳の内側だけで成立せず、鉛筆と紙が必要になる。


ヴィゴツキーによれば、高次の心理機能とは、記号などの高次の手段を媒介としてら成立する機能のこと。高次なのは、ツールの方。

高次の現代数学の計算も、高度の心理的ツールと単純な反射運動の組み合わせに過ぎないのかもしれない、と。


○身体性(p.73-)

脳が行う制御は、身体の特性や振る舞いが環境に対して一定の効果をもちうることを最初から前提としている。単純にいえば、脳の方が、身体の能力、身体がもつ外界への効力に完全に依存している。

もしも人間が昆虫のように変態するとしたら、その身体の変化を考慮せずに脳だけ研究することは無意味である。


○機能局在論の歴史(p.110)

ガルの骨相学

→ガルの弟子ブイヤールが失語症を局在論で説明

→これに影響を受けたブローカが1861年パリ人類学会で運動性失語について報告(はじめて骨相学にとらわれず、大脳皮質に心的機能を定位した)


○骨相学における自由の可能性(p.111)

ガルによれば、脳は複数の器官の集合体であり、それぞれの器官は独立に動いている。そこで、人間はひとつの器官を他の器官に対抗させるように働かせる余地が残されており、それによって比較的自由なのだ、とのこと。