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ボードレール書簡(1)

16歳年上の異母兄アルフォンスに送った手紙(1832年2月1日)より。

ボードレールは若干11歳。

義父オーピックの転任に伴いリヨンへ行くことになる。

 

馬車の中は

 

お察しの通り、兄さん、いつも動いているこの僕、いつもどちらかの足は浮かしているこの僕が、身動きもならず、ガラス窓に身を寄せるのがやっとでした。

 

「いつもどちらかの足を浮かしている」

11歳のボードレールにきゅんきゅんする。

 

そして馬車の狭さに辟易気味だったが

 

間もなく僕はふだんの通り快活になりました。…次々の宿駅をもうあまり覚えてはいませんから、晩に飛ぶことにします。日が暮れたので、ずいぶん美しい光景がみられました。つまり落日です。赤みがかったあの色は、この上もなく濃い色のズボンのように青い山々と、奇妙な対照をなしていました。

 

「晩に飛ぶことにします」

こういうラフなところにもまたきゅんとする

 

 

(『ボードレール批評4』 阿部良雄訳 / ちくま学芸文庫